たまにはダークに

ちょっと趣向を変えて、晒してみる。
欲しいと思っても、そう簡単に手に入らないものがある。
無いものねだりとは少し違う。今はそういう時期ではないだけ。
もっとこうしたらいいのに、こうできたらいいのにと、そう考えていても
うまくいかないこととか、あのときもっとこうしていればなんて後悔とか、
笑ってて欲しい人に限って悩んでいたりとか色々あるので。
俺も、旅団で思われてるほど、出来た人間でもなかったりして。
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俺は、夢を見る。

眠るときに見る夢。起きて望む夢。
詩人の背後に影。
影が覆う彼。
彼が纏う闇。
同化して、まるで護るように。

一度だけ、それを見た。
ぎくりと瞠目する俺を、さほど興味も無さげに一瞥したかのようなそれは
彼の影へと溶け込むように消えた。

見間違いではないことはわかった。
恐らくあれは、エリシャの召還獣。まだ俺の手の届かない領域。

きっと俺の知らない次元のもの。
恐らく、俺が手にするには未だ遠きもの。

また俺は夢を見る。
眠るたびに、夢を。
戦う日々に、夢を。

毎日、俺の中で増殖して行く思い。

俺は夢を見る。
力が欲しいと。召還獣に認められる程の技量が欲しいと。
そして、自らと自らの大切なものを護れるようにと。

その夜、俺は夢を見た。
夢に現れた召還獣は言う。
「力足りぬ者よ、去れ。汝、未だ我が主たるに及ばず」

今の俺にとって、死刑宣告のようだった。