ある春の夜

俺はよくベベウの依頼を請けるが、その依頼の一つ「隠匿王を探せ」という依頼と、楓華でのお花見のイベシナ「桜の花が咲く頃に」の合間の出来事。
背後が気まぐれに駄文を書いたのが出てきたので、今日は少々趣向を変えて。
推敲もろくにしていないので、ほんとに駄文。


********************


 酒場を訪れると、離席している間にも一緒に参加する仲間たちから意見が出されていた。
 レーヴェは、早速テーブルに着くと今回受けた依頼の参加者全員のクラスや力量をチェックしていく。戦闘もあるため、当然の習慣だった。
 いつもならそこまでだが、今回は各々の趣味まで確認する。
 大人に対して反抗的になっている子供相手なので、説得しやすい趣味をもっている者や同じ子供(義弟のクロノスも参加していたため)…年齢の低い者が相手にすることも考えた方がいいかもしれないと頭の片隅で考える。
 横顔に熱い視線を感じながら、資料に目を通していくレーヴェのテーブルの少し離れた席に、同じ旅団の後輩重騎士であり、最近付き合いだしたオルーガが居る。
 依頼の相談があるから少しの間あまり話が出来ないと言ったが、お構いなくと彼女は微笑んで、邪魔にならないよう静かに待っていた。
 少しでも一緒に居たい思いの表れなのだろう。
 オルーガは一人席に着き、適当に飲み物を頼んだりこちらを眺めたりしている。
 ちらりと視線を送れば、生真面目な性格を表わしたように結い上げた銀髪と、座っていても姿勢のいいオルーガはただ、微笑を返した。
 彼女はエンジェルなので、酒は飲めない。果物ジュースか紅茶でも頼んでいるのだろうか。そういえばその辺りの好みもまだ知らない。
 仕事ぶりを観察されているみたいで少々照れくさいが、少しでも彼女の参考になればいいとも考える。
 ともすれば奢り自惚れてしまいそうになり、必死に自分を叱咤し、考えつつ、自分の力量で戦えるか不安がる若い牙狩人を見遣る。
「依頼が初めての人、初心者がいるんだったな。それに、重傷の人も」
 グドン30匹ほどがいずれ現れるという廃墟のあちこちに5人の子供達が隠れている。
 安心して捜索し、必要ならば叱り、保護するには、さっさと先にグドンを倒してしまい
たいとレーヴェは考えていた。
 その手順と、12人の冒険者をどのようは班に分けるかも議題だ。
「んー、どういう班分けがいいか。誰かやってくれないか?」
 全員の力量とコンディション、経験、アビリティなどを総合して班分けする作業を苦
手としていたので、少々困ったように椅子の後ろに垂らした尻尾をゆらゆらさせて他のメンバーの意見を待った。

 そうして、一度酒場を辞し、また相談に来る旨を伝えてオルーガと共に帰路に就く。
 もうすぐ、花見に出かける。
 初めて赴く楓華でのひとときに、二人は胸を高鳴らせていた。