2006-04-04 鍔鳴 レーヴェ日記 ちりり。ちりり。ちりり… 冴えた震えた澄んだ音。 腰に帯びた剣が鳴く。 冷たい厳しい風が哭く。 きりきり胸が痛むのは己を騙す姑息さか。 ちりり。ちりり… 非情で過酷で血腥い、北の荒野を渡るのは 人ならざりし異形達、人を屠る獣達、そしてそれらを狩る者達。 無事で戻ると誓う者。 生きて戻れと願う者。 ちり、り。ちり… 剣と共に、俺も泣く。 願いをここに、抱いて啼く。 ぎりぎり唇噛み締めて、進むべき道見据えつつ。 泣くが仕事の幼子と、我が身は天地の違いあり。